【日本のアニメの産業としての現状】アニメ産業レポート2021

はじめまして。

当サイトの管理人、アニメーター・演出家の『ぼん太郎』と申します。

僕について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

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さて、アニメ業界に興味をお持ちのみなさん!

みなさんは日本のアニメを『産業』として考えたことがありますか?

当たり前のことですが、アニメ業界で働く人の収入を支えるためには、まず産業として成功していなければいけません。

ぼん太郎
今の日本のアニメ産業の状態はどんな感じなんだろう?

 

そんな時見てもらいたいのが、『アニメ産業レポート』です。

これは、一般社団法人の『日本動画協会』が独自調査により毎年作成しているもので、国内アニメ産業の全体像が客観的に分かる貴重な資料となっています。

 

というわけで今回の記事では、2021年12月1日に無料公開された『アニメ産業レポート2021 サマリー(要約版)』のデータをもとに

  • 日本のアニメ産業の市場規模
  • アニメ産業ジャンル別の推移
  • アニメ産業の国内外の成長
  • コロナウイルスによるアニメ産業への影響

こういった内容で、現在の日本のアニメ産業ついて掘り下げていきたいと思います!


2021年11月4日に『アニメ産業レポート2021』が発売されました。こちらは日本動画協会の公式サイトでお求めになれます。

『アニメ産業レポート2021 サマリー(要約版)』は公式サイトで誰でもダウンロードできるので、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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ぼん太郎
アニメ産業はまさに変革期真っただ中!今年のデータは特に面白いことになってます!アニメ業界を目指す方はぜひ見ていってくださいね。
それではさっそく行ってみましょう!

 

目次

日本のアニメ産業の市場規模

アニメ市場(広義のアニメ市場)

まずは全体の市場規模からです。

ここ数年ずっと右肩上がりだったアニメ市場でしたが、2020年はコロナウイルスの影響により前年比96.5%と市場減少となりました。

とはいえ、この状況下で3.5%ほどの減少で抑えられていることは個人的に意外です。

単年度としては減少となりましたが、全体としてみるとまだ成長トレンドは継続されていくように見えます。

ぼん太郎
僕自身も、作業の遅延や放送の延期、アフレコ形態の変更など、現場での多くの混乱を経験する年となりました。ウィズコロナの時代でどのような変化が起きるのか、来年のデータも引き続き注目していきましょう。

アニメ産業市場とアニメ業界市場の比較

このグラフはアニメ産業レポート内のデータをまとめて僕が作ったものです。

『アニメ産業市場』『アニメ業界市場』というあまり見慣れない言葉が出てきていますね。

まずは言葉の定義を簡単に説明すると、

【アニメ産業市場】
ユーザーが支払った金額を推定したもの。いわゆるエンドユーザー売上。
【アニメ業界市場】
全ての商業アニメ制作企業の売上を推定したもの。つまり、製作・制作会社の売上。
というものです。

さて、それを踏まえてグラフを見てみましょう。市場の桁が違うのが分かりますか?

数値を見ると、ユーザーが支払った金額のうち1/5~1/10程度が製作・制作会社の取り分のようです。

そして、年々その乖離幅が広がってきているように見えます。

ぼん太郎
制作者側の僕としては、もっとこっちに回してくれないかなーと思ってしまいますね。

アニメ産業ジャンル別の推移

アニメ産業ジャンル別の推移(映像作品)

続いて、アニメ産業のジャンル別の推移についてです。これは、日本のアニメ市場の推移をジャンル別に表したものとなります。

TV、映画、ビデオ、配信の4つのデータをそれぞれ見ていきましょう。

【ビデオ】

まずはビデオの推移を見てください。これはDVDとかブルーレイの売り上げのことなんですが、ほぼずーっと下がり調子です。

一時、1400億円くらいの規模っだったものが 今では466億円まで縮小しています。

これが「円盤のビジネスは終わりに向かっている」と言われる理由です。

【映画】

映画の推移ですが、年によって増減が激しくて読み取りにくいですね。ただ、全体としてはやや伸びているようです。

コロナの影響もあり映画全般の元気がなかったのですが、「鬼滅の刃」が記録的なヒット作となったのでなんとか持ちこたえた感じです。

【TV】

問題はTVです。市場規模として一番大きかったのですが、2019、2020年と大幅に減少しています。

コロナの影響で巣ごもり需要が増え、視聴者の映像メディアへの需要は高まっていると思うのですが、テレビアニメには逆の現象が起きているようです。

最近よく言われる「若者のテレビ離れ」もあり、これからのTV市場の成長はかなり難しいのかな、と思います。

【配信】

テレビとは逆に、配信は急成長!ついにテレビの市場規模を抜いてトップとなりました。

2002年に2億円程度しかなかったのに、2020年には930億円規模です。500倍にせまる勢いの成長です。すごい!

これからの主戦場となる事は確実でしょう。

ぼん太郎
テレビ市場の衰退と配信市場の急成長を考えると、テレビアニメに依存するビジネスモデルは変革の時を迎えているのかもしれませんね。

アニメ産業ジャンル別の推移(映像作品以外)

さらに続きまして、映像作品以外のアニメ産業のジャンル別の推移についてです。
商品化、音楽、遊興、ライブの4つのデータをそれぞれ見ていきましょう。

【商品化】

2020年は横ばいとなりましたが、コロナの影響を考えると健闘した方だと思います。

映像作品と比べて市場規模がかなり大きいです。つまり、アニメ業界はビジネス的に関連商品の売り上げで成り立っているという事です。

【音楽】

日本の音楽ランキングなどでアニソンがたくさんランクインしている印象ですが、音楽市場の成長はあまり見えないですね。ずっと横ばいの感じです。

【遊興】

「遊興」とはパチンコ等の事です。

こちらも純粋な映像作品よりは市場規模が大きいですね。2020年はコロナの影響を受けているように見えます。

【ライブ】

ライブの市場はコロナの影響をもろに受けていると思います。

市場規模が1/3くらいに減少していますね。早く回復してほしいものです。


ぼん太郎
このグラフを見ると、商品化のビジネスはアニメ業界にとってとても重要なことがわかります。制作者側からするとあまり重要視しない部分だと思いますが、覚えておきましょう。

アニメ産業の国内外の成長

国内外のアニメ産業の推移

さて、次は海外に目を向けてみましょう。

このグラフは、国内と海外の市場規模の比較データです。

2014年から急激に伸びてきた海外市場ですが、ついに国内市場を上回りました!

この背景には、コロナ禍での映像メディアの需要拡大と、配信ビジネスの世界的拡大が大きく影響していると考えられます。

日本のアニメの海外展開・地域別比率

次は、日本のアニメの海外展開・地域別比率についてです。

日本のアニメはアジア圏の市場が最も大きいことは変わらないのですが、比率が大きく変わってきています。

ということで、昨年のデータを比較として見ましょう。

この昨年のデータを見てわかる通り、アジアの比率が減少し、代わりにヨーロッパの比率が大きく伸びているようです。

ぼん太郎
海外市場が国内市場を上回ったこと、アジア以外の市場比率の拡大。これらのデータから、今アニメ業界が進んでいる方向がなんとなくわかる気がします。

コロナウイルスによるアニメ産業への影響

ここ数年、世界中を襲っているコロナウイルス。

日本のアニメ業界にも様々な影響が出ていますが、海外と比べるとどのような状態なのでしょうか。

今回、日・米・中のコロナウイルスの影響が見て取れるデータがありましたのでご紹介します。

2020年 日米中・の興行収入の推移

こちらは、日・米・中の、『映画全体の興行収入推移』です。

まずわかるのが、米・中の市場規模が桁違いに大きいことです。

2019年のデータを見ると、日本が2600億円程度なのに対して、米・中は1兆円を超えています。

しかしそれが2020年になると、コロナ禍の影響で一気に縮小していることがわかります。

 

さらに、自国製アニメに絞ったデータを見てみましょう。

米・中と大幅縮小しています。特に米国の興行収入が1/8近くまで縮小していて、被害の深刻さがうかがえますね…。

ですが、米・中に比べると日本の市場の影響が小さいように見えます。なぜでしょうか。

 

ということで、こちらのグラフをご覧ください。

こちらは、アニメ産業レポート2021・速報版の時に作成した『2020年アニメ映画興行収入ベスト10』の資料です。

※この資料のデータは2021年5月時点での集計数値となります。

 

みなさんご存じの通り、『鬼滅の刃・無限列車編』が歴代一位の記録を塗り替えるメガヒットを叩き出しました。

この速報のデータとは大きく異なりますが、最終的な総興行収入を調べてみると…

なんと約517億円!

 

日本の自国製アニメの興行収入が619億円。その内、鬼滅の刃が517億円だとすると…凄すぎるよ、煉獄さん!!ありがとう!!

ぼん太郎

日本の市場もしっかりとダメージを受けていたのですが、ほぼ鬼滅の刃だけでリカバーしていた、ということですね!

まとめ

アニメ産業レポート2021、いかがだったでしょうか。

今回は、アニメ業界の大きな転換点になるようなデータがいくつもありました。

コロナ禍に関する極端なデータも興味深かったですね。

以下、重要部分をまとめてみました。

  • ここ数年ずっと右肩上がりだったアニメ市場だが、2020年は前年比96.5%と縮小
  • TV市場が大幅減少。一方、配信は大きく成長し、ついにTV市場を抜きトップとなった
  • 2014年から急激に伸びてきた海外市場が、ついに国内市場を上回った
  • 地域別比率でみると、アジアの比率が減少し、ヨーロッパの比率が大きく伸びてきている
  • コロナウイルスの影響で、米・中ともに大打撃を受けている
  • そんな中、日本は鬼滅の刃・無限列車編がメガヒット。国内市場を支えた
ぼん太郎
まさにアニメ産業の転換期!今回も盛りだくさんでしたね。来年のデータも期待して待ちましょう!

 

繰り返しとなりますが、今回ご紹介した資料は日本動画協会の公式サイトで無料ダウンロードできます。気になる方はこちらのリンクよりご確認ください。

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さて、アニメで食べたい.comでは、毎年公開されるアニメ産業レポート(サマリー版)を独自分析しています。

一部紹介しましたが、ひとつ前に公開されている『アニメ産業レポート2021(速報版)』では、今回と違う切り口のデータもありますので、気になる方はこちらの記事もどうぞ!

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また、アニメ業界の制作現場に関するデータはこちらをどうぞ!

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