アニメーターの基礎画力のつけ方【描画スピード編】

皆さんこんにちは。
今回も、「基礎画力」についてのより具体的なトレーニング方法について解説していきます。

まだ「アニメーターに必要な3つの基礎画力」の記事を読んでいない方は、先にこちらの記事を読んでください。


さて、当サイトにおける基礎画力のおさらいです。
当サイトでは、アニメーターに必要な基礎画力を以下の3つに分けて考えています。

デッサン力

描画スピード

デザインセンス

今回は、この中の「描画スピード」に焦点を当て、アニメーターがなぜ描画スピードを身に付ける必要があるのか、またどのようにしてスピードを鍛えるかについて解説します。

この記事を読むことで、アニメ制作の効率を高めるための具体的な訓練方法やコツを学び、アニメーターとしてのキャリアをさらに充実させることができます。それでは行ってみましょう!

目次

アニメーターの瞬発力「描画スピード」

アニメーターにとって、「デッサン力」と同じくらい重要な要素が「描画スピード」です。その主な理由が2つあります。

アニメーションには大量の絵が必須

一つ目の理由は、多くの絵を描かなければ、良い動きを作ることができないからです。アニメ制作は、限られた時間の中でどのくらい高品質なアニメーションを作れるかが勝負となります。したがって、絵を描くスピードがなければ、アニメそのものを制作することができません。

アニメーターにとってスピードは生命線

もう一つの理由は、スピードが報酬に直結していることです。多くの場合、アニメーターは成果物に対しての出来高制で生計を立てています。そのため、アニメーターを続けるためには、たくさんの作品を作るためのスピードを身につけることが必要です。

では、どうやってそのスピードを身に付ければよいのでしょうか。

絵を描くスピードを鍛える訓練「クロッキー」

アニメーターの絵を描くスピードを鍛える訓練として、最も有効なのが「クロッキー」です。

「クロッキー」とは

クロッキーとは、人物や動物などの動く対象を短時間に描写する素描のことを指します。実在の対象を簡略に写生したもの、あるいは対象なしに自由な発想をすばやく描きとどめたものを意味する絵画用語です。

仏語の「クロッキー」とは、英語の「スケッチ」に相当する言葉ですが、日本では「速写」とも呼ばれ、使い分けがあります。簡単に言うと、「スケッチ」は主に静的な要素が中心であり、「クロッキー」は動的な要素を含むという事です。

語句言語日本語訳特徴
デッサン(dessin)French素描時間をかけた素描(※広い意味を持つ)
スケッチ(sketch)English写生短時間の素描・静的な要素が主
クロッキー(croquis)French速写短時間の素描・動的な要素を含む

クロッキーによって身に付く力

短時間でものを捕らえる観察力

クロッキーを行うことで観察力を鍛え、短時間で的確に物の重要な要素を抽出することができるようになります。限られた時間内に描くことで、余計な情報(細かい描写や装飾)を排除して、物を的確に捉える練習になります。

単純化して考える力

クロッキーをする際に大切なことは、形やディテールを単純化して考え、全体の比率や配置を効率的に描くことです。この「単純化して考える」ということは、アニメーターにとって非常に重要な武器になります。

連続した動作の流れをつかむ力

アニメーションにおいては、動作の流れを理解することが重要です。クロッキーを使って連続した動作を描くことで、動きのタイミングやリズムを把握できます。同時に、動きや力の向きを観察することにも注目しましょう。

筆圧・線質のコントロール技術

筆圧や線質のコントロールも基礎画力を養う上で重要です。画材の特性を生かし、線の太さや質感を調整することで、描画表現の幅を広げることができます。時には肩や肘を使って大きなストロークを描くことで、線の流れがスムーズになり勢いを生むことも必要です。

クロッキーのコツ

クロッキーをするときにいくつか注意するポイントがあります。

クロッキーのポイント

  • 短時間で描くことを意識する
  • 細部にこだわらず、全体の構造を捉える
  • 量産することで、精度を上げていく

もっと具体的な方法をいくつか紹介しましょう。

時間を決めて描く

クロッキーをする際は、最初に描く時間を決め、その時間内で描くようにしましょう。設定時間は一般的に15分から30秒程度です。最初は長めに設定して、慣れてきたら徐々に短くしていきましょう。

ディティールを省く

最初から完璧を求めず、極力デティールを省きましょう。緻密に描こうとすると、時間がかかってしまいます。ですが、最初のうちは訓練だと思って、大胆に省略してみてください。

シルエットを見る

描こうとしているものを単純化し、シルエットに注目するようにしましょう。特に、連続するポーズなどを描くと、その変化が明確になるため、勉強になります。

消しゴムを使わない

クロッキーは素早く対象の形をとらえることが重要なので、消しゴムなどで何度も書き直すと効果が薄れます。失敗を気にせず、そのまま手を動かしてたくさん描きましょう。

色々な画材を試してみる

色々な画材を試すと、それぞれの特性を知ることができます。さらに、書き味が変わるため、モチベーションを保つ効果もあります。鉛筆やボールペン、マジック、筆ペンなど、様々なものを試してみましょう。また、デジタルペイントソフトを使って多くの種類のペンを試すのも良いでしょう。

クロッキーを描く方法

外に出て描く

少しハードルが高いかもしれませんが、外出して人々を観察して描くことをお勧めします。日常生活での人々の動きを観察することで、自然な動作やポーズなどを描くことができます。

動物を見て描く

動物画にチャレンジすることも有効です。普通の動物は、人間と違ってずっと止まっていてはくれません。そのため、素早く動物の特徴や動きを捉え、それを表現する力が必要なのです。

ウェブサイトやアプリを使う

手軽に練習したい場合は、クロッキーに特化したウェブサイトやアプリがあります。「クロッキー サイト」などで検索してみてください。たくさん見つかります。

例えば、有名なものとして「POSEMANIACS(ポーズマニアクス)」があります。秒数を選んでスタートボタンを押すと、人体モデルが一定の時間間隔で表示されます。手軽にクロッキーをするにはおすすめのサイトです。

まとめ

  • アニメーターにとって描画スピードは重要な要素
  • スピードを鍛えるには「クロッキー」が有効
  • クロッキーをすることで、観察力、単純化して考える力など、様々な能力が付く

今回は、3つの基礎画力のうちの「描画スピード」に焦点を当て、具体的なトレーニング方法を解説しました。

アニメーターにとって、描画スピードを鍛えることは、業界に入った後の生存率を上げる大切なステップです。クロッキーを練習することで、さまざまなスキルが身に付き、アニメーターとしての能力を高めることができます。継続的にクロッキーを行い、日々の成長を楽しみながら、あなたのアニメーターとしての才能を開花させましょう!

さて次回は、3つの基礎画力のうちの「デザインセンス」についてまとめます。気になる方はこちらをチェック!

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