こんにちは。アニメ業界で働いている、ぼん太郎といいます!
突然ですが、みなさんはアニメ業界にどのようなイメージを持っていますか?
『アニメ業界』をネットで検索してみると、ネガティブな情報がほとんどです。
たとえばよく見るのが、
- 低賃金
- 長時間労働
- 帰れない、寝れない
- やりがい搾取
- 生活できなくてやめました
これを見て尻込みしてしまう気持ち、分かります。
しかし、それでもアニメ業界を諦めきれないあなた!
まずは現場を知らないと戦い方もわかりません!
果たしてこの情報の根拠はどういったものか、これがどのくらいの状態なのか、詳しく知る必要があります。
そこで今回の記事では、アニメーションの制作現場を調査した資料『アニメーション制作者実態調査』をもとに、現在のアニメ制作現場の状態を詳しく解説して行こうと思います!
現場へのアンケート調査『アニメーション制作者実態調査』
『アニメーション制作者実態調査』とは?
『アニメーション制作者実態調査』とは、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)という組織が、アニメ制作者に対しアンケート調査を行い制作現場の実態をまとめた資料です。
制作現場に対してこのような調査を、ほかの公式な機関がやっているというのは聞いたことがないので、制作現場の状態を客観的に表している唯一の資料と言えると思います。
ですが残念ながら、こちらの調査は毎年行われているわけではないです。
その間隔は不定期となっていて、2021年現在の最新版は2019年のものとなっています。
個人的には、最近のアニメ制作現場の変化はとても激しいので毎年調査してほしいです。JAniCAさんがんばって!
『アニメーション制作者実態調査 報告書 2019』が無料公開
さて、2019年11月11日に『アニメーション制作者実態調査 報告書 2019』が無料公開されました。
今回はこの2019年版から主要なデータをいくつかピックアップして、今のアニメ制作現場の現状を確認してみましょう!
※この資料は、JAnicA公式サイトで誰でもダウンロードできるので、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
[blogcard url=http://www.janica.jp/index.html]
『アニメーション制作者実態調査 報告書 2019』(一部抜粋)
調査概要
※調査の期間については、2018/11/6〜2018/12/19です。これをまとめて2019年版として公開しています
回答者について(一部抜粋)
- アニメーション制作者の国籍・男女比
- アニメーション制作者の性別と年齢
- アニメーション制作者の最終学歴
- アニメーション制作者の生活圏
- アニメーション制作者の婚姻状況など
まずはアンケートに回答した参加者全体のデータからです。
順を追って見ていきましょう。
アニメーション制作者の国籍・男女比
国籍についてははっきりしていて、ほぼ日本国籍の人です。
調査した期間から少し時間がたっているので割合は変わっているかもしれません。僕の体感だと外国籍の方は増えてきている気がします。
性別は、男性の比率の方が少し多いようですね。
アニメーション制作者の性別と年齢
性別ごとの年齢分布のグラフです。これを見ると、女性は若い人が多く男性は高齢の人の方が多くなっているようです。なぜだろう…。
ここで注目してほしいのが、45歳以上と50歳以上の男性の割合です。かなり高い数値になっていますね。
実は物量的には、この45歳以上の方々が今のアニメ業界を支えてくださっています。
アニメ業界もどんどん高齢化しているという事です。
ですが、早く新しい人材を増やして技術継承をしていかないと、どんどんまずい状況になると思います。
アニメーション制作者の最終学歴
次は学歴についてです。
割合的には、専門学校卒と大学卒の人が多いです。その次が高校卒が続いています。
アニメーション制作者の生活圏
アニメーション制作者の婚姻状況など
婚姻状況についてですが、未婚の人の方が多いですね。
アニメーション制作者の働き方について(一部抜粋)
- アニメーション制作者の技術の習得方法
- アニメーション制作者の就業形態
- アニメーション制作者の就業場所
- アニメーション制作者の平均作業時間
次は、『働き方』に焦点を当てて見ていきたいと思います。
全体的にかなり興味深いデータになっているのでぜひ見てください。特に、業界外の人は必見です!
順番に見ていきましょう!
アニメーション制作者の技術の習得方法
アニメ業界は、専門性の高い分業制で成り立っています。
それなのに、『最も有効になっている技術の習得方法』を50%近くの人が「制作会社に所属してから」と回答しています。その次が「フリーランスの仕事を通して」です。つまり、65%以上の人が「仕事を始めてから技術を獲得した」と感じているいう事になります。
人によると思いますが、僕の場合は「学生の時に身につけたことだけでは手も足も出ない」と痛感しました。
誤解しないでほしいのは、大学や専門学校の効果がないと言いたいのではありません。プロの世界は果てしなく遠いって話です。そこはお間違えなきよう。(詳しくは今度別記事を書こうと思います。)
アニメーション制作者の就業形態
続いて、アニメーターの就業形態についてです。
フリーランスの割合が最も多く50%を超えています。その次が自営業です。少ないけど、正社員も15%ほどいるようです。
※データ外のことになりますが、アニメ業界は職種によって就業形態の比率が大きく違います。アニメーターの場合は他の業種と比べ、特にフリーランスの割合が多いです。
アニメーション制作者の就業場所
アニメーターの主な就業場所ですが、意外と7割くらいが制作会社に出勤して作業しているようです。
就業形態のデータを見てわかる通り、アニメーターはフリーランスの方の割合が多いです。それにしては普通に出社して働く人が多いことがわかります。
自宅作業している方も3割くらいいるようです。その場合、成果物を進行さんに回収してもらうというのが一般的です。
アニメーション制作者の平均作業時間
さて、いろいろと問題になっているアニメーターの一日の平均労働時間についてです。
8~10時間の割合が最も多く全体の37.7%。これに8時間以下を含めた10時間以内の割合が、全体の71.4%となります。そして12時間以上と回答した人を合わせると、全体の7%ほどになります。
ちなみに日本の労働基準法によると、
- 原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない
- 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけない
- 少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない
とあります。これができる企業が日本にどのくらいあるのか…。
これはアニメ業界に限ったことではありませんが、しっかり対応してほしいものです。
まとめ
『アニメーション制作者実態調査 報告書 2019』前編、いかがだったでしょうか。
まずは、このアンケートの趣旨、対象者。そして、アニメーション制作者の働き方について少しわかったと思います。
以下、重要部分をまとめてみました。
- 日本のアニメーション制作者は、今のところ日本国籍の割合が圧倒的に多い
- アニメ業界もどんどん高齢化している
- 日本のアニメーション制作者は、専門学校卒と大学卒の人が多い
- 日本のアニメーション制作者の生活圏は、90%くらいが関東圏
- 日本のアニメーション制作者は、未婚の人の方が多い
- 日本のアニメーション制作者は、有効な技術を現場で獲得する人が意外と多い
- 日本のアニメーション制作者はフリーランスの割合が多いが、7割くらいが制作会社に出勤して作業している
- 日本のアニメーション制作者の一日の平均労働時間は、7割くらいが10時間以内になっている
このデータを見て、アニメ業界のイメージが少し明確になってきたかと思います。
ですが今回は、アニメ業界を客観的に把握するために見ているので、自分の環境とは切り分けて考えてくださいね。
前編だけでも、かなり興味深い内容!後編も気になりますね!
後編では、
- アニメーション制作者の収入
- アニメーション制作者の就業意識
こちらについて見ていこうと思います。
収入については特に気になっている方が多いと思うので、そちらは重点的に取り上げていこうと思います。
気になる方はこちらの記事をチェック!
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